・第2回東北地域通貨サミット-------2002年12月15日
・基礎所得給付型オンライン地域通貨システム「BASIC」-----2003年3月8日

●有機農業を営む田口さんは、自給自足をめざす専業農家。ある時、自分の田畑でとれた野菜やお米をインターネットで販売しようとオンラインショップの開設を思い立ちました。けれど予算は全部で10万円ぽっきり。もちろんこの御時世です。10万円でもそれなりのものをつくってくれる業者はいくらでもみつかることでしょう。けれど、どうせならきちんとしたものをつくりたいと思っていた田口さんは、アーチ券を利用することを思いつきました。そこでHP制作を請け負う個人事務所を経営する高橋さんのところに連絡して交渉したところ、「それでは10万円プラス10万アーチで手を打ちましょう」といってくれました。

●10万円の現金で20万円の価値に相当するオンラインショップをつくってもらった田口さんはほくほく顔です。そのうえ、オンラインショップを開設して半月もすると、少しずつ注文も舞い込むようになってきました。「この調子でいけば、投資した10万円はそう遠くない将来に回収できそうだぞ」。田口さんはとても満足気です。
● さて田口さんが振出した10万アーチはその後どうなったのでしょうか? じつはそれは高橋さんのところから外注デザイナーの後藤さんにわたり、さらに後藤さんからカメラマンの飯野さんにわたり、現在は運転代行業者の大久保さんの手元にあります。
●ここで大久保さんが、10万アーチをもって田口さんのところへいきました。自分が振出したアーチ券がふたたび自分のところに戻ってきたのを、驚きと感動の目をみつめていた田口さんでしたが、やがて笑いながらこういいました。「これが通常の手形ならここで10万円即刻現金で払わなければならないわけだが、このアーチ券のいいところは負債を商品やサービスで返せるところ。なんといっても、農産物だったらうちには腐るほどあるんだからな、はっはっは」。そして大久保さんは、10万アーチ分(市場価格で10万円相当分)の米と野菜を田口さんからもらったのでした。
●こうして田口さんが振出した10万アーチは、HP制作業者の高橋さんからデザイナーの後藤さん、カメラマンの飯野さん、運転代行業者の大久保さんの手を経て、ふたたび田口さんの元へ舞い戻ってきました。その間、合計50万円相当の取引を生み出しながら、しかもそれにかかる追加の現金は1円も必要とはしなかったのです。